私がFX初心者で、まだテクニカル分析を学びはじめた頃の話です。
FXのテクニカル分析を解説した書籍や、セミナーの先生は、
「ここで移動平均線のゴールデンクロスが発生したらエントリーし…」、
「ボリンジャーバンドの+2σに当たったら売りを仕掛けて、ミドルラインで決済をして…」、
「下降トレンドラインを抜けてここで引ける水平線にタッチしたら買いを仕掛けて…」、
など、具体的なエントリーポイントや損切の位置、利確位置などをチャート上で解説し、
一見、ランダムに動いているかのように見えるローソク足1つ1つに意味があることを示してくれました。
でも、じゃあなぜFXの市場においてテクニカル分析が機能し、それが繰り返されているのかと、生意気にも、いつも疑問に思っていました。
確かに教えられたテクニカル分析は、相場を説明するのに役立っていように思えるけれど、本当にそれだけで勝ち続けていくことができるのか…。
しょせんは過去の値動きを都合よく解釈しただけなんじゃないか…。など
今となっては、個々のテクニカル分析にあるロジックや本質、相場心理について理解できているのですが、FX初心者の頃は、「本当にテクニカル分析だけで勝てるのか」と疑心暗鬼になっていたことを思い出します。
FX初心者の方や、まだ勝てていない中級者の方の中では、当時の私と、同じような気持ちを持っている方が少なからずいるのではないかと思います。
そういった方の迷いが、この記事で少しでも晴れたら幸いです。
FXではテクニカル分析だけで勝ち続けている人たちがいる
FXにおいては、テクニカル分析のみで、年間数億円もの利益を叩き出している方が大勢います。
彼らは最低限のファンダメンタルズしか確認せず、場合によってはチャート以外全く見ない方もいるとか。
それでも彼らはFXの世界で勝ち続け、億を超える資産を築き上げることができています。テクニカル分析のみで、です。
かくいう私自身も、FXは基本的に、テクニカル分析のみで行い、週ベースで負けることはめったにありません。
もちろん、トレード前には、その日の重要な経済指標の発表時刻や、アメリカ、イギリスなどの大きな休場(市場が休みの日)などの情報は確認します。
が、その情報をもとにトレードすることはめったにありません。
どちらかというと、それらの情報は、その前後にトレードしないために活用しています。
理由は、テクニカル分析が機能しなくなる可能性があるからです。
いきなりタイトルと真逆のことを言っているようですが、安心してください。
テクニカル分析は、万能ではないが、確実に機能するということです。
その説明のために、まずはテクニカル分析と対をなす、ファンダメンタルズのFXへの影響を確認していきます。
FXにおけるファンダメンタルズの影響
過去をさかのぼれば、リーマンショックやイギリスのEU離脱をめぐる経済情勢に、為替市場は敏感に反応し、大きな値動きを引き起こしました。
また、現在も、米国の雇用統計や要人発言、政策金利の動向や金融政策、国債市場の長期金利、その他経済指標の数値、などなど、為替市場を動かす要因は、数え切れないほど多く、その都度、敏感に市場は反応しています。
FXにおいても、ファンダメンタルズによる影響は、無視できないほど、大きなものと言えます。
また、マクロな経済情勢を組み込んでファンダメンタルズのみでトレードしたり、経済指標発表時の値動きを得意とし、専門的に行っているトレーダーもいます。彼らも、テクニカル分析を重視するトレーダー同様に、膨大な利益を得ています。
通常の相場はテクニカル分析の支配下にある
経済指標の発表や、要人発言などの、ファンダメンタルズの要素で市場が動くのは当然といえます。
そこには通貨それ自体の実需もかかわってきますし、場合によっては、政府の為替介入なども起こりえます。
そういった場合には、テクニカル分析は機能しなくなる可能性は高いです。
しかし、世界規模の大きな事件が起きていない通常の相場は、テクニカル分析の支配下にあります。
なぜかというと、無数の情報と変数が発生し、瞬時にそれらを織り込んでいくFXの世界で、トレーダーはテクニカル分析に頼らざるを得ないからです。
きっかけはファンダメンタルズ、値動きはテクニカル分析
ファンダメンタルズ(経済情勢)はリスクオンの相場、リスクオフの相場を生み出す「きっかけ」になります。
株価とドル円、米国債券利回りなどには、高い相関関係が見られることは良く知られています。戦争や災害時には、逃避通過として円やスイスフランなどが買われた歴史からも、ファンダメンタルズによる影響は大きいと言えるでしょう。
そういった、「きっかけ」は、「値動き」となって現れます。情勢が変化したことにともなう「きっかけ」をもとに、「値動き」が発生した方向に仕掛けたり、底値圏や天井圏で積極的に逆張りを行なっていきます。それらは、結局のところ、テクニカル分析によって行われていきます。
つまり、私たち個人投資家ができることは、世界中のあらゆる無数の情報を時々刻々と織り込んでいく為替市場に対し、ほかのトレーダーがテクニカル分析に頼らざるを得ない状況まで待ち、相場に参加すればよいのです。
個人投資家はファンダメンタルズの情報量で優位に立つことはできない
結局のところ、私たち個人投資家がいくら背伸びをしたところで、証券会社や投資ファンドに情報量で勝つことはできません。
証券会社は、個人投資家のポジションや、損切の位置がどこにあるかなどの情報で見ることができますし、どこの価格帯に指値が多く入っているかの情報も把握しているでしょう。
また、ファンダメンタルズにまつわる情報を得るスピードやその精度、信頼性、分析力、どれをとっても個人がかなうものではありません。
もちろん、私たち個人投資家も、ファンダメンタルズの知識は最低限必要ですが、情報で劣る(=優位に立てない)場所での勝負は、できるだけ避けるべきかと思います。
相場を動かすのは大衆
相場を動かしているのは、あくまでも大衆です。
大衆の中には、個人投資家、証券会社や投資ファンドのすべて含まれます。
個人投資家も、証券会社や投資ファンドも、それぞれ別の考えを持ち、それぞれの手法で利益を得ようとします。
先ほど、ファンダメンタルズで個人投資家は勝てないと言いましたが、証券会社や投資ファンドの中にも、テクニカル分析で勝負しているところは多いようです。
そういった、数々の思惑が交錯した結果、多数派の方向に価格が動いていきます。
そして、個人投資家たちが活路を見出している分析方法が、テクニカル分析であり、大衆の値動きとしてこれからも機能し続けていくはずです。
まとめ
FXでは、情報の変数が多すぎて、トレーダーはテクニカル分析に頼らざるを得ない
ファンダメンタルズはあくまで「きっかけ」であり、「値動き」はテクニカルの支配下にある
相場を動かすのは大衆であり、大衆はテクニカル分析に活路を見出している
以上FXにおいてテクニカル分析が機能する理由について解説しました。
テクニカル分析は、基本的な内容を1つ1つ完璧にしていくことで、相場を分析できる有効なツールです。手法ではなく、分析の背景を理解すると、より精度が高まっていき、組み合わせによって優位性が増していきます。
テクニカル分析で勝てるようになるのかという不安は、以上のポイントを踏まえながら学んでいくことで、少しづつ解消されていくと思います。