「順張りトレード」を行う場合の最も基本的な戦略は、
です。
「順張りトレード」自体、優位性が高い手法であり、
基本戦略の「押し目買い」「戻り売り」は、順張りトレードの中で、最も精度が高い手法でしょう。
一度トレンドが発生した場合、転換するまでは積極的にその方向に仕掛けていくだけで、高勝率のトレードは実現可能です。
「押し目買い」または、「戻り売り」を基本戦略にしているトレーダーは、世界中にあふれています。
しかし、順張りトレードをしてもなかなか勝てない、という方が、意外と多いようです。
今回の記事では、順張りトレードの注意点として、
「リスクリワード」の考え方、「エントリしてよい場合、だめな場合」を、具体的な図を使って説明していきます。
特に、「手法や売買の方向は合っているのに、トータルで勝てない」というパターンの方は、この記事に書かれていることを守れているか、普段行なっているトレードを、一度見直してみてください。
リスクリワードを1:1以上にする
「順張りトレード」は戦略として間違った方向ではありません。
実際に私も、順張りトレードは得意です。
しかし、注意しなければならないのは、
「リスクリワードを1:1以上にする」
ということです。
リスクが「1」に対して、利益が「1以下」だと、「利益に見合わないトレード」になってしまいます。
ビジネスの場合、経営者は、
「採算が取れない事業(投資額より利益見込額が低い)」=「投資に値しない」
と考え、その投資案は、かならず、却下します。
しかし、FXやトレードの世界では、毎日のように機会損失(やっとけばよかった)にさらされています。
「あの時エントリーしておけば〇〇万円勝てたのに…」という経験を、何度かするうちに、いつのまにか「利益に見合わないトレード」をしてしまいがちです。
しかし、
私たちトレーダーも、経営者と同じように、1回のトレードを投資と考え、
その投資案を採用すべきか、却下すべきか、毎回考える必要があります。
つまり、
どれだけ「おいしい」と思える場面であっても、リスクリワードが1:1以上になっていなければ、エントリーすべきではないです。
これは勝てる!と思っても、リスクリワードが合わないトレードを繰り返せば、トータルでマイナスになるのは必然です。
逆に、リスク1に対して、リワード(利益)2であれば、勝率が50%でも安定して勝てます。
以下からは、「エントリしてよい場合・だめな場合」を、具体的にみていきましょう。
エントリしてよい場合・だめな場合
例えば、
という戦略を立てたとします。
戦略自体には何も問題はありませんし、優位性が高い手法です。
ただし、
この戦略をとるうえで注意しなければならないのは、
半値戻し(50%戻し)の段階までは、どれだけ「おいしい」と思えてもエントリーすべきではないということです。
以下から図を使って説明していきます。
【戦略:エリオット波動1波の押し目買い】

上図のとおり、エリオット波動「第1波」が発生したと仮定し、「第2波」の調整場面で買いを仕掛ける戦略です。
ただし、直近高値で止められる可能性を考慮し、そこを利確目標としています。
非常に手堅い戦略かと思います。
しかし、
この戦略は、エントリーの場所を間違えると、失敗トレードです。(たとえ勝ったとしても、失敗トレードと考えて下さい)
以下の図を見て、リスクリワードを確認してみます。
【リスクリワード】

上の図は、第1波に「フィボナッチ・リトレースメント」を描写しています。(フィボナッチリトレースメントを描写できるツールはこちら)
第1波を100%とした場合、どれだけ戻したかがわかります。
直近の高値を利益目標とすると、
押し目買いで、リスクリワードが1:1以上になるのは、「50%」よりも価格が下がった場合のみです。
理想的には、リスク 1 に対して、リワード 1.6 の「61.8%」戻しまで待ちたいところです。
どれだけ「おいしい」と思う場面であっても、直近高値を利益目標としている場合、最低50%まで戻らない限り、エントリーできないはずです。
なぜなら、リスクの方がリワード(利益)より大きいからです。
たしかに、50%のラインまで押し目を付けず、そのまま上昇していくことは多いです。
しかし、そこはトレードできないところと割り切ってしまわないと、安定して勝てるようにはなりません。
このように、手法と目線がいくら正しくても、いつのまにかリスクのほうが大きいトレードを採用してしまう場合があります。
勝率が100%というのは、あり得ないので、リスクのほうが大きいトレードを繰り返せば、いずれ破産します。
「機会損失」より「回避利益」と考える
何度か自分の想定どおり価格が動き、「エントリしておけば○○円勝てたのに」という経験をすると、機会損失(損した気分)のような気がしてしまうものです。
そして、今度こそは!といって、
「利益に見合わないリスク」をとってしまいます。(リスクリワード1:1以下)
ですが、
長い目で見ると、リスクリワードを崩すのは、機会損失どころか、実現損失に直結します。
手法は正しくても、エントリータイミングが間違っていると、
目先の利益は出ても、長期的には破産の道をたどります。
「機会損失」ではなく、「回避利益」と考えてください。(回避できれば、利益≒経験を得られます)
補足説明
先ほどの例では、
という戦略でした。
しかし、優位性が高いパターンが発生した場合、損切の位置を近くすることで、リスクリワードを保つことができます。
先ほどのパターンでは、調整がレンジに近い形となっていましたが、
ダブルボトムに近い形が発生しているため、買い圧力が強いパターンと認識できます。

こういったパターンの場合、損切位置を、直近の安値に設定してリスクリワードをあげることが可能です。(私がエントリと利確をしたのも上図のとおりです)
もちろん、優位性が高いパターンが発生しているのが絶対条件で、自分の勝手な都合で損切を近くに設定しても意味はありません。
優位性が高いパターンの発生と、(今回は61.8%で2度買いが入っている+マルチタイムフレーム分析)勝率とリスクリワードを合わせて、「投資に値する」と考えれば、積極的にエントリしていけます。
【マルチタイムフレーム分析については以下の記事へ】