FXを始めてからテクニカル分析を学んでいくと、様々な理論や手法に出会います。
その中でも、最も重要で、世界中のトレーダーが利用しているテクニカル分析の1つが、「ダウ理論」です。
世界中のトレーダーが利用しているということは、FXのテクニカル分析において「機能する」とも言えます。
実際にチャート上を見ていただければ、この「ダウ理論」をもとにトレンドが形成されたり、トレンドが転換していったりするのが観測できます。
実践的かつ優位性のあるテクニカル分析ですので、ぜひマスターし、トレードに活かしましょう!
今回の記事では、「ダウ理論 」の簡単な概要と、「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する」 を紹介しています。
「ダウ理論」は、6つの基本原則があり、それぞれ重要な内容ですが、本サイトでは、まず簡単な概要を把握し、重要な順に詳細を見ていきます。
「理論オタク」になってもらうためではなく、実戦で有効に使える知識を配信し、最短で勝ちトレーダーになってもらうことが、本サイトの目的ですので、余計だと思う知識は、意図的に排除してあります。歴史や学問的なことに興味がある方は、他のサイトを参照して頂けたらと思います。
そもそも「ダウ理論」とは
ダウ理論とは、チャールズ・H・ダウが提唱した、株式市場を分析する理論です。
ただ、テクニカル分析を主眼においているこの理論は、FXや先物取引、や暗号通貨・インデックスでも機能しています。
ダウ自身は、理論を体系化した書籍を残しておらず、「ダウ理論」という名前も後世に付けられたものです。
このあと解説する基本原則にしても、順番や番号がバラバラだったりしますし、6原則とかABCDEFとか呼ばれていますが、あまり気にしないで下さい。
私たちトレーダーにとって重要なポイントは、「ダウ理論」が、金融商品市場において、100年以上も有効に機能しているという事実です。
そもそもダウ理論やテクニカル分析は、株式市場を分析するために生まれたものですので、それを、FX(為替市場)に応用した結果、FXにおけるテクニカル分析も発展していった、という程度の理解で十分かと思います。
そして、最新のテクニカル分析の多くは、実はダウ理論の発展形に過ぎないということも、重要です。(例えばエリオット波動・ハーモニックパターン・水平線ブレイクアウト・マルチタイムフレーム分析などなど)
ダウ理論はそれほど、テクニカル分析にとって、教科書的かつ基本的な部分であり、欠かすことのできない理論とも思いえます。
ですので、「絶対にマスターする」ことをオススメします。
特に、今回の記事で紹介する、 「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する 」は、FXで勝っていくために、必ず覚えるべきです。理解し、チャートを見た際にしっかりと分析できるまで、何度も見て、身体に叩き込んでもらいたいと思います!
それでは、ダウ理論の基本原則からサラッと見ていきましょう!
ダウ理論には6つの原則(基本原則)がある
ダウ理論には、基本原則(6つの原則)があります。
- トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する
- トレンドには3種類ある
- トレンドは出来高でも確認されなければならない
- 平均は相互に確認されなければならない
- 主要トレンドは3段階からなる
- 平均はすべての事象を織り込む
(注)基本原則の順番は特に重要ではないと思いますので、私が重要だと思う順番に並べてあります。
なんだか難しいことを言っています。文字だけで読むと、イメージがしずらいと思います。
ですので、このあと、数回の記事に分けながら、図を使って説明していこうと思います。
これらの原則は、それぞれが、FXでテクニカル分析をする上で優位性の高い手法と結びついています。
もともと株式市場で生まれた理論なので、「FXに置き換えるとこうなる」といった感じで理解している人が多いですし、私も、体系的にテクニカル分析を理解するうえで、非常に利便性が高いと思っています。
はじめのうちは、個々のテクニカル分析をバラバラに学んでいくのが普通です。
その個々に得た「点」と「点」の知識を、最終的にダウ理論の基本原則に集約し、知識として「パッケージ化」したほうが、漏れなく、すっきりと、相場を分析できるようになると思います。
テクニカル分析を行ううえで、これら6つの原則から「外れる」、「漏れがある」、ということは、それだけで、「優位性を1つ失う」ことになりますから、基本原則に忠実かどうかの確認をする上でも、「相場をダウ理論どおりに分析ができているか」日頃から確認するべきだと思います。
実際、勝っているトレーダーは、「ダウ理論」として覚えているかどうかは別として、いずれも、テクニカル分析を行う際に必ず見ているポイントです。(意識的か無意識的かにかかわらず、です)
ダウ理論をFXで活用するには?
6つの基本原則のうち、一見FXとは無関係に思える部分もあったのではないでしょうか。
もともは、株式市場を分析する理論ですので、「出来高」や「平均は相互に確認」という言葉は、為替市場と無関係に思えます。
しかし、それぞれの基本原則を、FXに当てはめていくことで、様々なことが見えてきます。
基本原則の核となるロジックそのものを抽出し、FXに応用していくことで、優位性の高いテクニカル分析が可能となります。
下図では、それぞれの関連性を簡単に示しています。

ダウ理論が、それぞれ、たくさんの情報を含み、FXのテクニカル分析に関連付けることができるのが、わかるかと思います。そのほかにも、ここに記せないほど、たくさんのテクニカル分析と結びついています。
それもそのはずで、「ダウ理論」自体がテクニカル分析の開祖と言われており、基本原則の普遍性が垣間見えるところです。
理論自体が今も機能しているのは、基本原則の背景に、相場の普遍的な部分や、相場心理が含まれているからだと思います。
以下からは、ダウ理論最重要ポイントである、「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する」を見ていきましょう。
トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する
「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する」について解説していきます。
基本原則の中でも、最も重要かつ優位性の高い基本原則です。
- トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する ⇒ココ!
- トレンドには3種類ある
- トレンドは出来高でも確認されなければならない
- 平均は相互に確認されなければならない
- 主要トレンドは3段階からなる
- 平均はすべての事象を織り込む
「ダウ理論」=この基本原則と思っている方も多いくらい、よく知られていますし、世界中の、多くのトレーダーが意識してます。
この基本原則が、「トレンドフォロー」型のトレード(いわゆる『順張り』)の根拠とされているものです。
また、この基本原則をもとに、トレンドの終わり(トレンド転換)をいち早く察知することができるとされています。
この基本原則では、2つの重要な内容が含まれています。
その2つを、それぞれ分解して、確認していきます。
1つは、
(1)「トレンドは~継続する」
もう1つは、
(2)「明確な転換シグナルが発生」
です。
(1)「トレンドは~継続する」から確認していきましょう。
(1) 「トレンドは~継続する」
「トレンドは~継続する」と言われても、「トレンド」とは一体何なのかを知らなければ、継続するといわれてもわけがわかりません。
そして、負けているトレーダーの多くは、ここを「なんとなく」で流してしまいます。
「なんだかトレンドっぽい」という感じで理解するのは非常に危ういです。
ですので、まずはトレンドの定義から見てみましょう。
そもそもトレンドとは?
そもそも「トレンド」ってどうすればわかるの?という方も多いのではないでしょうか。
FXにおける「トレンド」とは、非常に定義が難しく、トレーダーによって様々なとらえ方があります。
しかし、厳格な定義は置いておいて、誤解を恐れず簡単に言ってしまいますと、
「価格変動(ボラティリティ)が通常より大きな状態で、価格がどちらか一方向に動くこと」
だと思います。
逆に、上の条件に当てはまらない場合は「レンジ(トレンドレス)」の状態と考えられます。
イメージ沸きにくいかと思いますので、言葉ではなく、図を使って説明していきます。
【トレンドとは?「トレンドは~継続する」】

上の図を見ると、波を形成し、上下に動きながらも、大きな方向としては、「上昇」トレンドを形成しています。これがいわゆるトレンドです。
順張りと呼ばれる、トレンドフォロー型のトレーダーは、 「上昇」トレンド が発生した方向にブレイク(直近の高値を抜いた瞬間)したら買ったり(図の「a」の位置)、
少し戻したところの押し目を買ったりします。 (図の「b」の位置)
「下降」トレンドの場合は、その逆になります。
この方法は、「もっともっとどんどん上がっていくぞ!」というトレーダーや、「少し安くなったからお得じゃん!買おう!」というトレーダーの心理が裏側にあります。
そういった心理が背景にあるから、トレンドは、波を形成しながらゆっくりと一方向に継続して動いていきます。
そして、その相場心理に形成される「トレンド」の存在が、トレンドフォロー型のトレーダーがポジションを持つ、理論的な根拠となっています。
もちろん、価格変動(ボラティリティ)が低い状態で、ただ高値や安値を抜けたから=「トレンド」ではありません。
価格が波を形成しながら一方向に動いていく必要があります。
ダウ理論における「トレンドは~継続する」とは?
トレンドの定義を簡単に見たところで、では、「トレンドは~継続する」をどのように判断し、FXのトレードに活用していけばよいのでしょうか。上昇トレンドを例に説明していきます。
まず1つ目の判断のポイントは、
安値を切上げ、高値を更新している(上昇トレンド)
ことです。
ダウ理論では、この状態が続いていれば、「トレンドは継続」している考えます。
以下の図を見てください。
【トレンドは継続するの判断】

上の図を見ると、 安値を切上げ、高値を更新しているのがわかります。
トレンドがキレイに出ている場合、この状態が継続していくことになります。
下降トレンドではその逆となります。つまり、
高値を切り下げ、安値を更新している(下降トレンド)
となります。ですので、図の左側は、「下降トレンドであった」とも判断できるわけです。
FXのトレードで活かすためには?
トレードに活かすためには、このトレンドの波に、素直にのっていけばよいことになります。
その方法を紹介します。
実際のチャートを見てみましょう。
【トレンドは~継続するの判断(チャート)】

先ほどトレンドの定義で説明したとおり、トレンドが発生したと判断された場合、「明確な転換シグナルが発生するまで継続する」ので、
①
「上昇」トレンド が発生した方向にブレイク(直近の高値を抜いた瞬間)したら買う(図の「a」の位置)
②
戻したところの「押し目」を買う (図の「b」の位置)
の2つの戦略をとります。
図の「a」 のポイントでは、「安値の切り上がり」が確認でき、「高値の更新」が起こる瞬間にエントリしていく戦略です。(ブレイクアウト戦略)
単純に高値をブレイクした方向に仕掛けていくので、乗り遅れるのを防ぐのを防止できます。その反面、「ダマシ」と呼ばれる、見せかけのブレイクで逆方向に転落するリスクがあります。
図の 「b」 のポイントでは、 「a」のブレイク を確認したうえで、「押し目買い」を狙っていきます。
「a」 でエントリしたトレーダーの「利益確定」と、「逆張り派の売り」で下がったポイントで仕掛けていきます。まだトレンドは継続しているわけですから、直近の安値を割らない限り、買っていけるというわけです。
また、「押し目買い」は人気の高い手法で、新規の買いを呼び込むため、 「a」 よりも精度が高いと言われています。
(ちなみに図の「b」では、前回高値のロールリバーサルが発生しています。こういった複数のテクニカル分析を組み合わせ、優位性の高いトレードを行うのが、FXで勝つためのポイントです。ロールリバーサル(サポレジ転換、ローリバとも)については、また別の記事で紹介したいと思います。)
(2) 「明確な転換シグナルが発生」
先ほど、「トレンドは~継続する」を確認していきました。トレンドは1度発生すると、基本的には継続していくということは理解できたのではないのでしょうか。
ただ、そのトレンドの継続は、いずれ終わりを迎えます。
その継続していたトレンドが、「明確な転換シグナルが発生」することによって、いったん、終わるということです。
注意しなければならないのは、「明確な転換シグナルが発生」したからといって、次のトレンドが発生するわけではありません。
単に、「トレンドの継続」が終わるだけであり、その後「レンジ相場」に入る場合や、再度同じ方向にトレンドが発生する場合もあります。
では、ダウ理論の「明確な転換シグナルが発生」とは、どのような状態なのでしょうか。
「転換シグナル」には、2つの認識方法のパターンがあります。
正確には、この「転換シグナル」の認識方法が、トレーダーによって判断が分かれるということです。
この、トレーダーによる認識方法の違いが、相場を難しくしています。
それぞれ、図を見ながら確認していきます。
【認識パターン①】

上の図は、下降トレンドからの「明確な転換シグナル」を判断する「認識パターン①」です。
このパターンでは、安値の切り上げと、直近高値の更新により、「トレンドが転換したシグナル」として認識する方法です。下降トレンドは、高値を切り下げ、安値を更新しているのが条件でしたので、それが終わったと判断するものです。
この認識パターン①は、いち早くトレンドの転換をとらえ、逆方向にトレンドが動く瞬間をとらえるのに適しています。
この認識パターン①も人気が高く、上の図の場合、一気に上昇トレンドを形成する場面は頻繫に起こります。
しかし、欠点があります。それは、下降トレンドが実はまだ続いている場合です。以下の図を見てください。
【認識パターン①の欠点】

「安値を切り上げ、高値を更新した」と考えていたのが、実は単なる調整局面であり、
下降トレンドがまだ継続中という認識のトレーダーが多い場合、さらに下降トレンドが継続していきます。トレンド転換が失敗した場合で、上の図だと、まだ高値を切り下げ、安値を更新していると判断できます。
この欠点を回避するために生まれたのが、「認識パターン②」です。
以下の図を見てください。
【認識パターン②】

上の図は、下降トレンドからの「明確な転換シグナル」を判断する「認識パターン②」です。
認識パターン①では、下降トレンドが実はまだ継続していた場合の欠点がありました。
認識パターン②は、より正確に転換シグナルを確認するために、
「最安値を作った起点となった高値」を抜け、安値を切り上げた時点で、「明確な転換シグナル」が発生したと考える方法です。
特に初心者の方は、「認識パターン②」でトレンド転換を確認する方法をオススメします。
「認識パターン①」でエントリした方が、値幅がとれますが、その分勝率が下がります。また、先ほど説明したとおり、欠点もあります。認識パターン①でエントリする場合は、ほかの根拠を複合させて精度を高める必要があります。(私は認識パターン①でのエントリをよく好んで使います。逆張りが得意になれば、認識パターン①が強力な武器になるため、初心者の方も、後々のために必ず覚えておいてください。)
「認識パターン②」であれば、見つけやすいですし、MA(移動平均線)やエリオット波動などの、ほかのテクニカル分析と相性が良いです。エントリが遅くなる、値幅がそれほどとれないという欠点はあるものの、分析は「認識パターン①」より簡単です。
FXで応用するには?
最後に、「明確な転換シグナルが発生」 を、実際のチャートを使って、それぞれの認識を紹介します。
実際のチャートでは、図のように簡単にはいかず、分析の難易度がぐっと上がりますので、頑張って覚えてください。
以下からは、2人のトレーダーに登場してもらいます。
1人は「保守的なトレーダー」、もう1人は「積極的なトレーダー」です。それぞれの「転換シグナル」の解釈を見てみましょう。
【明確な転換シグナルが発生:保守的なトレーダーの場合】

保守的に「転換シグナル」を認識すると、上の図のようになります。大きな波のとらえ方をしているため、細かい波は無視しています。
次は、積極的なトレーダーの認識も見てみましょう。
【明確な転換シグナルが発生:積極的なトレーダーの場合】

積極的なトレーダーの場合、最安値の位置が、保守的なトレーダーの場合より近くなり、「認識パターン②」の位置も、かなり早い段階でトレンド転換とみなしています。
こうして実際のチャートに当てはめてみると、簡単に判断ができないところが、「明確なトレンド転換」の判断が難しいところです。
これについては、「どっちがが正しいの?」という声が聞こえてきそうですが、正解はありません。また、さらに別の認識をするトレーダーもいます。
そういった認識の違いが、チャートの波を形成しています。
ですので、そういった迷いが生じた場合の、実践的な分析方法を紹介します。

の部分が、「保守的なトレーダー」も、「積極的なトレーダー」も「どちらも」トレンド転換していると判断する位置であり、積極的に仕掛けたいところになります。(「保守」認識パターン②もエントリしたいポイントなのに変わりありません。また、「転換=逆トレンドの発生」とは判断できないため、その点は注意が必要です。)

いかがでしょうか。
最安値の認識はどちらも変わりませんので、「積極的なトレーダー」の認識パターン②で、かつ、「保守的なトレーダー」の認識パターン①を満たしている場合には、大きな買い勢力が2つは入ってきます。上の図を見ると、その後大きく上昇し、トレンドを形成しているのがわかります。
これらは、マルチタイムフレーム分析などと複合させていくことで、より精度を高めることができます。まずは、2つのパターンを徹底的に理解したうえで、分析に活かしていくことをオススメします。
まとめ
以上、「ダウ理論」の概要と、
「ダウ理論」の最も重要な基本原則、「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する」
を確認していきました。
テクニカル分析の中でも、理解ベースの重たい内容であり、実際チャート上で分析していくためには、慣れるまで時間がかかるかと思います。
ダウ理論を分析するツールとしてMT4というオススメツールがあります。まだインストールしていない方は、以下の記事を参考にしてください。
ダウ理論は、残りの5つの原則も非常に重要で、マスターすべきものです。
2番目に重要なダウ理論の基本原則「トレンドには3種類ある」は以下の記事へ ↓
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